超PHPerになろう

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PHPとMIT Licenseについて

Webにはフリーソフトウェアとして公開された多くのPHPライブラリがあります。しかし、多くのスクリプトには「ライセンス」と呼ばれる利用条件が設定されて居り、利用者はこれを遵守する必要があります。

今回は多くのPHPライブラリのライセンスとして採用される MIT License について紹介します。

ライセンス名 The MIT License
SPDX Identifier MIT
分類 フリーソフトウェア / 寛容なライセンス
原文 MIT License - Choose a License
必須事項 ライセンスと著作権の表示
許可されること 商用利用、修正、配布、派生作品に別のライセンスを課す
禁止事項 作者に責任を求めること
同等のライセンス Expat License
BSD 2-Clause License

要点

MIT Licenseは「寛容なライセンス」であると呼ばれます。業務利用もしやすいライセンスで、利用者が遵守しなければならない条件も非常に少なく簡潔です。

  • ソースコードか添付文書に著作権表示とライセンスをぜったい記載してね (除去したらだめ)
  • このソフトを使って損害が生じても作者に責任はないからね (免責事項)
  • ↑ これを守ってくれる限り、無制限に使っても配ってもいいよ!

あなたが守らねばならないこと

改造して利用する場合

自由に改造して、再配布することができます。有料で販売したり、別の利用条件(ライセンス)を課しても問題ありません。

ただし、大前提となる著作権表示とライセンス文は必ず含まねばなりません

Composerで依存する場合

MIT Licenseが設定されたライブラリをComposerでrequireする場合、自作のソフトウェアの配布物の複製を含まず利用者に個別にダウンロードさせるため、特に何もすることはありません。READMEなどの文章に著作権表示や謝辞を記載する必要もありません。

業務で利用する場合

営利目的であっても問題なく業務利用できます。ただし、利用したPHPコードにバグがあり障害が発生したとしても、保障や損害賠償を要求することはできません。何か問題があれば自分で原因を調査して解決する覚悟を持って利用してください^1

サーバーで利用する場合

ソースコードを他者に配布せずサーバーでPHPを動作させて利用する場合、著作権表示やライセンス文を記載する必要はありません^2

JavaScriptを利用する場合

WebサービスでのJavaScriptソースコードを利用者にダウンロードさせるため、著作権表示を除去しない限りは何もせずに商用利用・再配布が可能です。

あなたがライブラリ作者の場合

  • あなたが作ったライブラリを利用したことが原因で問題が発生しても解決や賠償の義務はありません
  • サーバーに採用されたことを確実に知る手段はありません
  • 派生版を商用販売されたとき、確実に利益を受け取る手段はありません
    • 派生版のライセンスによっては改善をフィードバックできないことがあります
  • ビジネスのライバルに利用されることを阻止する方法はありません

ライセンス本文

非常に短いため、ライセンス全文を掲載します。

原文

Copyright (c) <year> <copyright holders>

Permission is hereby granted, free of charge, to any person obtaining a copy of this software and associated documentation files (the "Software"), to deal in the Software without restriction, including without limitation the rights to use, copy, modify, merge, publish, distribute, sublicense, and/or sell copies of the Software, and to permit persons to whom the Software is furnished to do so, subject to the following conditions:

The above copyright notice and this permission notice shall be included in all copies or substantial portions of the Software.

THE SOFTWARE IS PROVIDED "AS IS", WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING BUT NOT LIMITED TO THE WARRANTIES OF MERCHANTABILITY, FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE AND NONINFRINGEMENT. IN NO EVENT SHALL THE AUTHORS OR COPYRIGHT HOLDERS BE LIABLE FOR ANY CLAIM, DAMAGES OR OTHER LIABILITY, WHETHER IN AN ACTION OF CONTRACT, TORT OR OTHERWISE, ARISING FROM, OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE SOFTWARE OR THE USE OR OTHER DEALINGS IN THE SOFTWARE.

日本語訳

Open Source Group JapanによるMIT Licenseの日本語訳を紹介します。

Copyright (c) <year> <copyright holders>

以下に定める条件に従い、本ソフトウェアおよび関連文書のファイル(以下「ソフトウェア」)の複製を取得するすべての人に対し、ソフトウェアを無制限に扱うことを無償で許可します。これには、ソフトウェアの複製を使用、複写、変更、結合、掲載、頒布、サブライセンス、および/または販売する権利、およびソフトウェアを提供する相手に同じことを許可する権利も無制限に含まれます。

上記の著作権表示および本許諾表示を、ソフトウェアのすべての複製または重要な部分に記載するものとします。

ソフトウェアは「現状のまま」で、明示であるか暗黙であるかを問わず、何らの保証もなく提供されます。ここでいう保証とは、商品性、特定の目的への適合性、および権利非侵害についての保証も含みますが、それに限定されるものではありません。 作者または著作権者は、契約行為、不法行為、またはそれ以外であろうと、ソフトウェアに起因または関連し、あるいはソフトウェアの使用またはその他の扱いによって生じる一切の請求、損害、その他の義務について何らの責任も負わないものとします。